いちばん古い記憶

二日酔いになると、言葉を探すのが心地よくなる。

大好きなマンガの「死と彼女とぼく」を読みながらさまざまな記憶が思い出されたので、この作品の冒頭よろしく独白を綴ろうと思う。


わたしのいちばん古い記憶、

作り物の記憶。

事実でなかったのに小さい頃本当のことだと信じていて、それを誰も憶えてなかった。


病院のエレベーターに父と母とお医者さんとわたしが乗っていて、地下に降りている。

わたしは父の脚に縋り声を出せずにいる。


いや、いや、これから起こることが厭。

けれど逃げたくても決まっていることからは、のがれられないのを知っている。


エレベーターが着いて廊下に降りると、向こう側は暗闇で遠い先は見えない。

けれど手前の左手側だけに灯りが漏れている、あの部屋。


いつものあの部屋、こわい部屋。


行きたくない!そう言っても聞いてはもらえなくて、手を引かれ連れられる。

真っ白な床も壁もベッドも、白々しい清潔な匂いがする。

そこに横たえられると手足を拘束され、天井の9つの球が円になるライトが容赦なくフラッシュする。


注射針が近づいてきて


ーーーどうしてこんなことを毎日




恐怖に冒された胸のなかで叫ぶ。



ーーー何故、



そこで記憶は途切れる。

それを父も母も憶えていない。


病院にそんな地下はない、

そう聞かされた。






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